県が認証制度を設けて条件を満たしたものを伝統野菜としていることが多い。
各県の認証制度、認証の条件を整理してみた。
基本的にどの県でも郷土料理や地元の食文化との繋がりを重視している。
条件とする年代は昭和20年より前、つまり戦前が一番多い。
秋田・長野・愛知は昭和30年代より前としているが、この時代はF1種の普及や食の洋風化が進んだ時代でもある。
関西地方はさらに前から栽培されていることを条件としており、中でも京都・滋賀は明治以前と条件が厳しい。
都道府県 | 名称 | 認証条件(抜粋) | 年代 |
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秋田 | 秋田の伝統野菜 | 昭和30年代以前から県内で栽培されていたもの。 地名、人名がついているなど、秋田県に由来しているもの。 現在でも種子や苗があり、生産物が手に入るもの。 | 昭和30年代以前 |
山形 | 最上伝承野菜 | 最上地域特有で概ね昭和20年以前から存在していた野菜・豆類など 現在も最上地域で栽培され、自家採種しているもの | 昭和20年以前 |
山形 | 山形おきたま伝統野菜 | (1)置賜地域で概ね昭和20年以前から栽培されている在来種 (2)置賜地域の歴史と食文化を伝えるもの | 昭和20年以前 |
山形 | 村山伝統野菜 | 村山伝統野菜 ①村山地域で、優れた郷土の食材として親しまれてきた野菜 ②おおむね昭和20年以前から栽培・利用されてきたもの ③地域で品種、系統が維持されているもの ④現在、種苗が入手可能なもの | 昭和20年以前 |
東京 | 江戸東京野菜 | 江戸東京野菜は、江戸期から始まる東京の野菜文化を継承するとともに、種苗の大半が自給または、近隣の種苗商により確保されていた昭和中期までのいわゆる在来種、または在来の栽培法等に由来する野菜のこと。 | 昭和中期まで |
石川 | 加賀野菜 | 現在、加賀野菜には15品目が認定されており、これらは全て昭和20年以前から栽培され、現在も金沢で栽培されている野菜です。 | 昭和20年以前 |
福井 | 福井百歳やさい | 一、生産者自らが、種をとり栽培している。 二、100年以上前から栽培されている。 三、地域に根ざした作物である。 | 100年以上前 |
長野 | 信州の伝統野菜 | 来歴 地域の気候風土に育まれ、昭和30年代以前から栽培されている品種 食文化 当該品種に関した信州の食文化を支える行事食・郷土食が伝承されている 品種特性 当該野菜固有の品種特性が明確になっている これらの条件を満たす物のうち、認定委員会の意見を得て長野県が選定したものが「信州の伝統野菜」となります。 | 昭和30年代以前 |
岐阜 | 飛騨・美濃伝統野菜 | 岐阜県内で古くから栽培されている特色ある野菜・果樹等のうち、 一定の要件を満たす品目・品種を岐阜県が認証したもの。 1.岐阜県で主に栽培されていること 2.岐阜県の気候風土により特性がみられること 3.古く(昭和20年以前)から栽培され、地域に定着していること | 昭和20年以前 |
愛知 | あいちの伝統野菜 | 昭和30年頃に栽培されていたもの 地名、人名がついているものなど愛知県に由来しているもの 今でも種や苗があるもの 種や生産物が手に入るもの | 昭和30年以前 |
三重 | 美し国「みえの伝統野菜」 美し国「みえの伝統果実」 | ①生産量 生産量が確保でき、市場等に出荷されている ②歴史性 地域で50年以上前に栽培されている事実があり、現在も栽培されている。 ③地域性 地域の祭事等での活用や地域に伝わる郷土食のレシピがある等地域において欠かせないものとなっている。 ④商品価値 三重の農産物のイメージアップを醸成できるもので、県外等生産地域外の消費者にも評価されることが期待できる。 ⑤品種・品質 品種の純粋性が確保されている。あるいは、現在も伝統野菜・伝統果実としての特徴や一定以上の品質が確保されている。 | 50年以上前 |
滋賀 | 近江の伝統野菜 | 以下の条件を満たす伝統野菜を県が「近江の伝統野菜」として認定します。 原産地が滋賀県内で概ね明治以前の導入の歴史を有している。 外観、形状、味等に特徴がある特産的な野菜。 種子の保存が確実に行われている。 | 明治以前 |
京都 | 京の伝統野菜 | (1)明治以前の導入栽培の歴史を有する。 (2)京都市域のみならず府内全域を対象とする。 (3)たけのこを含む。 (4)キノコ類、シダ類(ぜんまい、わらび他)を除く。 (5)栽培又は保存されているもの及び絶滅した品目を含む。 | 明治以前 |
大阪 | なにわの伝統野菜 | (1)昭和初期以前(概ね100年前)から大阪府内で栽培されてきた野菜 (2)苗、種子等の来歴が明らかで、大阪独自の品目、品種、栽培方法によるもの、又は府内特定地域の気候風土に育まれたものであり、栽培に供する苗、種子等の確保が可能な野菜 (3)府内で生産されている野菜 | 昭和初期以前 |
奈良 | 大和の伝統野菜 | 大和の伝統野菜とは、戦前から本県での生産が確認されている品目で、地域の歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法等により、「味、香り、形態、来歴」などに特徴をもつもので、20品目※を認定しています。 | 昭和20年以前 |
熊本 | くまもとふるさと野菜 | 熊本の人や風土とかかわりが強く昭和20年以前から熊本県内で栽培されてきた野菜や伝統料理と結びつき伝統的に栽培されてきた野菜。 | 昭和20年以前 |
鹿児島 | かごしまの伝統野菜 | 鹿児島の人や風土とかかわりが強く,郷土の食文化を支えてきた野菜で,古く(おおむね昭和20年以前)から県内で栽培されてきた野菜を「かごしまの伝統野菜」という。 | 昭和20年以前 |
沖縄 | 伝統的農産物(島野菜) | 健康長寿県として注目される沖縄において、戦前から導入され、伝統的に食されてきた地域固有の野菜 | 昭和20年以前 |
在来作物の保護・活用に関心のある有志達が各地で設立し活動する団体
都道府県 | 団体名 |
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青森 | 青森県在来作物研究会 |
宮城 | みやぎ在来作物研究会 |
秋田 | あきた郷土作物研究会 |
山形 | 山形在来作物研究会 |
新潟 | にいがた在来作物研究会 |
静岡 | 静岡在来作物研究会 |
愛知 | あいち在来種保存会 |
兵庫 | ひょうごの在来種保存会 |
大分 | おおいた在来作物研究会 |
鹿児島 | 鹿児島伝統作物保存研究会 |
地域 | 著者(敬称略) | 書籍名 |
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秋田 | あきた郷土作物研究会 | あきた伝統野菜「種と人の物語」 |
山形 | 山形在来作物研究会 | どこかの畑の片すみで 在来作物はやまがたの文化財 |
山形 | 山形在来作物研究会 | おしゃべりな畑 やまがたの在来作物は生きた文化財 -どこかの畑の片すみで partⅡ- |
長野 | 産直新聞社 | 産直コペルvol.71 |
静岡 | 静岡在来作物研究会 | しずおかの在来作物 風土が培うタネの物語 |
滋賀 | 長朔男 | ふるさとの財 近江の在来野菜誌 |
兵庫 | ひょうごの在来種保存会 | つながっていく種と人 ひょうごの在来作物 |
奈良 | 三浦雅之 | 奈良のタカラモノ |
広島 | 花井綾美 | 土と人と種をつなぐ広島 |
日本 | 味の素食の文化センター | vesta 132号 伝統野菜・在来作物 |
日本 | 西尾敏彦,藤巻宏 | 日本水稲在来品種小事典 |
緑・・・伝統野菜の認証制度が存在する
黄・・・県全域を対象とした在来作物研究会が存在する
青・・・両方存在する