種の基本
固定種・F1種・在来種・メンデルの法則・顕性潜性など、よく聞く種に関する基本的な内容を整理しました。
固定種・F1種などの関係図
先に関係を整理(これを念頭に置くと理解しやすいかもです)
在来種・エアルーム種は固定種に含まれる。
在来種とエアルーム種と伝統野菜は一致する部分もある。
伝統野菜は固定種・F1種両方が存在する。
※明確な定義が無い用語もあるので、人により解釈が異なることもあります。ここに書いてあることは絶対というわけではない点にご注意ください。

雑種
味(甘い酸っぱい)・大きい小さい・早生晩生など、形質がばらばらで固定されていない種。
後述の固定種とは、親の形質が遺伝する点は共通するが、形質が固定されていない点が異なる。
栽培中の品種の例
黒千石…北海道各地の方からもらった種子を混ぜながら栽培している。そのため、完熟する時期にばらつきがある。後述の在来種にも該当。
八丈オクラ…八丈オクラがメインだが、採種時のミスによりエメラルドや白ひすいが交じっている。
後述の固定種とは、親の形質が遺伝する点は共通するが、形質が固定されていない点が異なる。
栽培中の品種の例
黒千石…北海道各地の方からもらった種子を混ぜながら栽培している。そのため、完熟する時期にばらつきがある。後述の在来種にも該当。
八丈オクラ…八丈オクラがメインだが、採種時のミスによりエメラルドや白ひすいが交じっている。
黒千石

固定種
雑種から何世代も自家採種を繰り返して、味(甘い酸っぱい)・果実が大きい小さい・早生晩生などの形質を固定した種。
特定の形質を備えた種子について選抜→栽培→採種、を何年も繰り返すことで形質が固定する。
栽培中の品種の例
三河島大豆…10/12-14ごろに完熟するので固定化が進んでいる。後述の在来種にも該当。
特定の形質を備えた種子について選抜→栽培→採種、を何年も繰り返すことで形質が固定する。
栽培中の品種の例
三河島大豆…10/12-14ごろに完熟するので固定化が進んでいる。後述の在来種にも該当。
三河島大豆

F1種
対立する形質を持つ固定種を交配して、両親の良い性質(味・形・収量など)を受け継いだ種。
雑種強勢が働くことで、両親の顕性の形質が出やすくなる。
例)甘いが病気に弱い*酸っぱいが病気に強い→甘くて病気に強い
その上成長が早くなり大きくなりやすく、形や成長速度が均一になりやすい。
F1とはFirst Fillial Generationの略称で、日本語では「雑種第一代」「一代交配」「交配種」とも表現するが、一般的にF1種と呼ばれていることが多い。
F1種から採種した種子(F2)をまくと分離の法則が働き、形質がばらばらになる。
狙った形質のものを選抜して採種するのを数年続ければ自分オリジナルの固定種を作ることもできる。
栽培中の品種の例
ふゆうまか・かちわり…自然農法センターの交配種(つまりF1種)。採種した種子をまいた検証結果を後述。
雑種強勢が働くことで、両親の顕性の形質が出やすくなる。
例)甘いが病気に弱い*酸っぱいが病気に強い→甘くて病気に強い
その上成長が早くなり大きくなりやすく、形や成長速度が均一になりやすい。
F1とはFirst Fillial Generationの略称で、日本語では「雑種第一代」「一代交配」「交配種」とも表現するが、一般的にF1種と呼ばれていることが多い。
F1種から採種した種子(F2)をまくと分離の法則が働き、形質がばらばらになる。
狙った形質のものを選抜して採種するのを数年続ければ自分オリジナルの固定種を作ることもできる。
栽培中の品種の例
ふゆうまか・かちわり…自然農法センターの交配種(つまりF1種)。採種した種子をまいた検証結果を後述。
かちわり
自然農法センターは雑種強勢が弱く出るように交配しているので比較的固定化がしやすいらしい(現在検証中

在来種/在来作物/郷土作物
特定の地域(都道府県や市町村や地区等)で古くから栽培され続けてきた品種。
後述の「伝統野菜」と同様に、人や団体によって意見が分かれることが多いので、明確な定義はないと解釈している。在来種と伝統野菜を同一と見なす意見もある。
複数の表記があるが特に「在来種」がよくつかわれる表現で、他に「在来作物」「郷土作物」などの表現が使われることもある。
栽培中の品種の例
会津小菊カボチャ…福島県会津若松市門田町飯寺の在来種
網干メロン…兵庫県姫路市網干区の在来種
あじめこしょう…岐阜県中津川市福岡の在来種
札幌黄八行とうもろこし…明治から栽培されている北海道の在来種
後述の「伝統野菜」と同様に、人や団体によって意見が分かれることが多いので、明確な定義はないと解釈している。在来種と伝統野菜を同一と見なす意見もある。
複数の表記があるが特に「在来種」がよくつかわれる表現で、他に「在来作物」「郷土作物」などの表現が使われることもある。
栽培中の品種の例
会津小菊カボチャ…福島県会津若松市門田町飯寺の在来種
網干メロン…兵庫県姫路市網干区の在来種
あじめこしょう…岐阜県中津川市福岡の在来種
札幌黄八行とうもろこし…明治から栽培されている北海道の在来種
札幌黄八行とうもろこし
フリントコーン(硬粒種)で近代では挽いて粉にして食べていた
現代よく食べられているスイートコーンとは異なり甘みはないが、未熟果を焼いて食べると美味しい
アライグマやカラスの被害がひどく2025年より栽培を断念

エアルーム種
エアルームとは家宝という意味。
家族や特定の団体により古くから栽培され続けてきた品種を指す。
在来種よりも狭い範囲で受け継がれてきた品種に対して使われることが多い。
国内の品種の例では「島村いんげん」「須藤きゅうり」「しろうま」などがある。
栽培中の品種の例
虎豆・貝豆…栽培中の種子は伊達市大滝区で個人が1990年代から育てているのでエアルーム種ともいえる。北海道の在来種でもある。
てんこ小豆…栽培中の種子は潟上市の個人が祖父母の代から育てているのでエアルーム種ともいえる。秋田県の在来種でもある。
家族や特定の団体により古くから栽培され続けてきた品種を指す。
在来種よりも狭い範囲で受け継がれてきた品種に対して使われることが多い。
国内の品種の例では「島村いんげん」「須藤きゅうり」「しろうま」などがある。
栽培中の品種の例
虎豆・貝豆…栽培中の種子は伊達市大滝区で個人が1990年代から育てているのでエアルーム種ともいえる。北海道の在来種でもある。
てんこ小豆…栽培中の種子は潟上市の個人が祖父母の代から育てているのでエアルーム種ともいえる。秋田県の在来種でもある。
伊達市大滝区で1990年代より継がれてきた虎豆

伝統野菜
古くからその地域で作られてきた在来種をブランド化したもの。
有名なものだと京野菜、江戸東京野菜、加賀野菜などがある。
県が認証制度を設けて条件を満たしたものを伝統野菜としていることが多い。
秋田・山形・金沢市・JA東京中央会・長野・岐阜・岐阜・愛知・滋賀・京都・大阪・奈良・熊本・鹿児島・沖縄が認証制度を設けている。
古くから栽培されてきたこと、その県にルーツがあることや食文化に欠かせない存在であること、現存し種や苗が手に入ることを主な条件としている。
昭和20-30年より前から栽培されていることを条件とする県が多い中で、関西は条件が厳しく特に京都・滋賀は明治以前となっている。
ブランド化や権利保護の関係から商標登録されている品種や、生産関係者以外に門外不出としている品種も見られる。
固定種も存在するが、雑種強勢で得られるメリット(品質が均一・親の特徴を強く受け継ぐ)を活用するために改良されたF1種も存在する。
栽培中の品種の例
泉州絹皮水茄子…大阪府南部の在来種。「泉州水茄子」の登録商標でブランド化されている。
飛騨南瓜…岐阜県北部の在来種。「宿儺南瓜」の名称でブランド化されている。
有名なものだと京野菜、江戸東京野菜、加賀野菜などがある。
県が認証制度を設けて条件を満たしたものを伝統野菜としていることが多い。
秋田・山形・金沢市・JA東京中央会・長野・岐阜・岐阜・愛知・滋賀・京都・大阪・奈良・熊本・鹿児島・沖縄が認証制度を設けている。
古くから栽培されてきたこと、その県にルーツがあることや食文化に欠かせない存在であること、現存し種や苗が手に入ることを主な条件としている。
昭和20-30年より前から栽培されていることを条件とする県が多い中で、関西は条件が厳しく特に京都・滋賀は明治以前となっている。
ブランド化や権利保護の関係から商標登録されている品種や、生産関係者以外に門外不出としている品種も見られる。
固定種も存在するが、雑種強勢で得られるメリット(品質が均一・親の特徴を強く受け継ぐ)を活用するために改良されたF1種も存在する。
栽培中の品種の例
泉州絹皮水茄子…大阪府南部の在来種。「泉州水茄子」の登録商標でブランド化されている。
飛騨南瓜…岐阜県北部の在来種。「宿儺南瓜」の名称でブランド化されている。
雑種・固定種・F1種の変化の流れ
トマトを例に図示
雑種を選抜すると固定種、形質の異なる固定種同士を交配すると雑種強勢が働きF1種になる。
F1種に選抜を繰り返すと固定種になり、固定種が交雑や混入などにより雑種になる。

F1種から採種した種子をまくとどうなるか?(実験)
自然農法センターのF1種ふゆうまかで検証。
見た目は洋ナシ型の西洋カボチャ
2023年ふゆうまかの種子を播種して栽培した結果。
4個収穫し全て洋ナシ型。
(日本カボチャは別品種のためカウントから除外)

2024年 1個体から採種して栽培した結果。
洋ナシ型:ラグビーボール型=4:1となった。
皮の色も深緑・黄緑とばらつきがみられる。
(右下はかちわりという別品種のため除外)


解説
ふゆうまかはF1種なので2023年播種時の種子は遺伝子型Aa、表現型洋ナシ型と仮定する。
これらの間に生まれた子供(2024年に播種した種子)は分離の法則より
遺伝子型AA:Aa:aa=1:2:1、表現型洋ナシ:ラグビーボール=3:1となった
表現型は実際は4:1であること、他花受粉性なので交雑が関与した可能性もあるが
F1種から採種して育てるとばらつきがある子供ができることを実際に検証することができた。
トマトなど自家受粉性の植物であればより確実に再現できるし、
F1種から固定化して自分オリジナルの固定種を作るのにも挑戦してみたい。
※遺伝子型は仮定です(メンデルは江戸から明治に代わるころにこの仕組みを考えたと思うとすごい偉大天才と言わざるを得ない)
