種を入手する
固定種・F1種・在来種など種の基本を押さえたところで、次は種の入手方法について説明します。
種の入手方法
種の入手方法
大きく分けると以下の2つになります。
1.種苗店
2.種交換会
入手方法1.種苗店
オンライン、もしくは店頭の種苗店で購入する方法。
管理人は当初種交換会の存在を知らなかったので、ここから入りました。
これまでは後述で紹介するオンライン販売の種苗店で購入してきましたが、店頭販売の方も開拓して面白い種苗店を探していきたいと思います。
特徴
・品質が確実に保証されている
・種苗法の登録品種であるか否かを確実に知ることができる
※固定化・選抜・交雑対策・種を介して感染する病気の対策などがされ品質が保証されており、さらに販売者は種苗法で発芽試験を実施すること、登録品種の場合は表示が義務付けられているため
・綺麗な種袋、かわいい種袋など大事に残したくなる種袋たちに出会える
・身元がはっきりしないケースが多いフリマサイトでの購入と異なり、万が一のトラブル時に販売者に直接連絡・対応依頼が可能

入手方法2.種交換会
自家採種を続けている農家や、家庭菜園をされている方がメインに参加されていることが多いです。
「種交換」と名前に「交換」がありますが、交換できる種を持っていないが種が欲しい、という方も参加できます。
採種、袋詰め、小分けなど、種を持ってくる方は非常に労力のかかる作業をされています。必要な分だけもらうようにして、さらに感謝の気持ちを忘れずにするとよいでしょう。
種をもらう側の礼儀
「ただで種をもらえるならたくさんもらっておこう」と種を持ってきた人を長時間拘束し、種を必要以上にもらうような行為は控えましょう。種を持ってくる方は他の方との交流目当てで来ていることも多いからです。
後述の「ただでもらった種からはいい実がならない」「種を貰ったら倍返し」の言い伝えに従い、翌年取れた種をお礼として種交換会にもっていけると、種を地域内で循環する仕組みができてとても素晴らしいと思います。
袋分けをする暇がない中で種を持ってきている人も多いです。確認もしないで種袋ごと持っていくのは絶対にやめましょう。その人が大事につないできた種は、あなたが独り占めするものではありません。
種をあげる側の礼儀
相手が欲しいと明確に意思表示をしていないのに(自分がおいしいと思ったんだからこれを上げたら絶対に喜ぶだろう)という勘違いをもとに「おいしいから育ててみなよ」と言って押し付けるのは避けましょう。
植物を育てるには、スペースや栽培にかかる労力や時間が必要です。育てる余裕がない人に種を渡すと、「もらったから育てなきゃ」「捨てるのは申し訳ない」という罪悪感を与えてしまいます。
※種苗法・商標法・植物防疫法などの法律に抵触する種子の譲渡や交換は絶対にやめましょう。不安な場合は主催者に確認するようにしてください。
※個人の意見ですが、植物防疫の観点から病気が出た個体から採種した種子を交換会に持ち込むのは控えるべきだと考えています。種子を介して感染する病気があるので、第三者に病気を広める原因になるためです。






どんな種を貰うべきか
人により意見が分かれるとこですが、自分は「地域の環境にあった種を育てるべき」「他人が勧める種より、自分がいいと思った種を育てるべき」「特に美味しいと思った品種を育てるべき」であると考えています。
特に、食の好みは人によって異なります。
例えば、自分の場合生食向きの大玉トマトはあまり好みではありません。理由は雨が降るとすぐ裂果してしまい、またべちゃっとした食感が好みではないためです。
一方ミニトマトは裂果しにくく甘くて食感も好みなことが多く、加熱用の大玉トマトも皮が厚く裂果しにくいうえ加熱することで旨味が増すので、好んで食べています。
住んでいる地域も重要で、例えば晩生種の米や大豆は北海道では育てることができません。(完熟する前に寒さや雪で枯れてしまうため)
逆に寒冷地の在来種を温暖な地域で育てた場合、昨今の猛暑に耐えられない可能性もあります。
味の好みは人によるので、マルシェや通販で買って食べた固定種などで美味しいと思ったものがあったら種を探してみると良いでしょう。
また、最寄りの種交換会で探してみると地域の環境に適合した種が見つかるのではないかと思います。
総括
以上、紹介させていただきましたが、どれがいいかはその人が種に何を求めるかによると思います。
種の品質を絶対的に重視するのであれば種苗店での購入がおすすめでしょう。
住んでいる地域の環境にあった種が欲しい、在来種や伝統野菜をつないでみたい、種仲間を増やしたいのであれば近場の種交換会に参加してみるのがよいでしょう。
以下、ご参考までに種苗店の紹介になります。(種交換会についてはあまり知らないので、こちらで紹介はできません)
種苗店の紹介
オンラインで固定種・在来種の種が買える種苗店
つる新種苗
固定種、在来種、伝統野菜、F1種など様々な品種の種を取り扱っている。長野県の伝統野菜も多数。 「長野県の在来品種は基本的に守る」という方針のもと、自社で保存する種を採種農家に配って育ててもらい、採種した種子をまた売るという取り組みをしている。 自家採種した種子の配布に当たり品種登録・商標登録の確認方法のご相談時に、種苗関係者の視点よりきわめて丁寧かつ的確にご回答いただいたことがあり非常に感謝しております。

自然農法センター
自然農法に適するよう品種改良した交配種や、在来種を取り扱っている。
全て国内の採種場で採種しているのが売り。また自然農法に適した品種を選抜しているので、自然農法に挑戦したい人におすすめ。
公式サイトに栽培方法について詳細に記載があるので初心者にもおすすめ。
賛助会員になると受けれる割引クーポンが有る(管理人は賛助会員)

鶴頸種苗流通プロモーション
「タネの未来: 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ」の著者小林宙さんが起業した種苗店。 地方の珍しい伝統野菜の種の取り扱いが多数。初めて聞く伝統野菜が多く商品を見るのが楽しい。

たねの森
世界各地の珍しい伝統品種やエアルーム種の種子が多数。 無農薬・無化学肥料・無消毒の固定種の種子のみを取り扱っている。 BD農法で採取された種子も取り扱っている。

取扱店の紹介
固定種・在来種の種が買える種苗店を取り扱っているお店の紹介
農文協・農業書センター
主に農業・園芸の書籍を取り扱う書店で、多数の書籍を販売している。 鶴頸種苗と一反百姓じねん道の種子の取り扱いも行っている。



野口のタネ本店
埼玉県飯能市にある野口のタネ本店。店内に大量の固定種の種が並んでいる様子は圧巻。 種が好きな人は絶対に行くべき場所。 アクセス:西武池袋線飯能駅からバスで約30分「新寺」を下車し徒歩約5分




ジュンク堂池袋本店
7階に農業・園芸・生物の書籍取扱多数。 野口のタネ・じねん道の種子の取り扱いも行っている。



アグロピッツェリア ダ パンダ
鶴頸種苗の種子の扱いがある東新宿のピザ屋
国立市の農園で作った野菜を使ったピザがとても美味しい。

参考:種をめぐる文化や歴史
種交換・シードバンクの文化や歴史
「種交換会」という自家採種した種子を交換し合うイベントが各地で開かれています。
種を交換する、という行為自体は古くから行われており、江戸時代に農民が稲の種籾を交換し合っていたことが記録に残っています。
高知県梼原町にある「種子換え地蔵」では、参拝した人は種をもらう代わりに種を置いていくという風習が根付いています。
昔の人は「同じ畑で取り続けていると株が小さくなる(=矮性化)ので定期的に同じ品種で違う畑の人の種と交換する」ことを経験から学んでおり、種交換会を続けていたと考えられます。
会津・多摩・熊本・沖縄など日本各地に「ただでもらった種からはいい実がならない」「種を貰ったら倍返し」という言い伝えがあります。
距離的に離れた地域で似たような言い伝えがあるのは、人々が各地で種を地域内で循環する仕組みを作る意義を理解していたからなのではと考えています。
岐阜県飛騨市宮川町には種蔵(たねくら)という、高台の上にある棚田の景色が美しい集落があります。
種蔵という珍しい地名は「周囲の集落に天災が及んだ時に蓄えられていた種を分けてきた」ことが由来です。
昔の人にとって洪水や火事などで種がなくなることは最悪死につながる出来事です。
種蔵集落は有事の際に「シードバンク」の役割を果たしてきたと考えられます。




