種を入手する
固定種・F1種・在来種など種の基本を押さえたところで、次は種の入手方法について説明します。
はじめに、種交換やシードバンクなどの文化や歴史についての説明をさせてください。
はじめに
種の入手方法
大きく分けると以下の4つになります。
1.種苗店
2.種交換会(対面)
3.シードライブラリー・シードバンク
4.種交換会(オンライン)
前略.種交換・シードバンクの文化や歴史
「種交換会」という自家採種した種子を交換し合うイベントが各地で開かれています。
種を交換する、という行為自体は古くから行われており、江戸時代に農民が稲の種籾を交換し合っていたことが記録に残っています。
高知県梼原町にある「種子換え地蔵」では、参拝した人は種をもらう代わりに種を置いていくという風習が根付いています。
昔の人は「同じ畑で取り続けていると株が小さくなる(=矮性化)ので定期的に同じ品種で違う畑の人の種と交換する」ことを経験から学んでおり、種交換会を続けていたと考えられます。
会津・多摩・熊本・沖縄など日本各地に「ただでもらった種からはいい実がならない」「種を貰ったら倍返し」という言い伝えがあります。
距離的に離れた地域で似たような言い伝えがあるのは、人々が各地で種を地域内で循環する仕組みを作る意義を理解していたからなのではと考えています。
岐阜県飛騨市宮川町には種蔵(たねくら)という、高台の上にある棚田の景色が美しい集落があります。
種蔵という珍しい地名は「周囲の集落に天災が及んだ時に蓄えられていた種を分けてきた」ことが由来です。
昔の人にとって洪水や火事などで種がなくなることは最悪死につながる出来事です。
種蔵集落は有事の際に「シードバンク」の役割を果たし、多くの人の命を救ってきた集落であったと考えられます。



種の入手方法
入手方法1.種苗店
オンライン、もしくは店頭の種苗店で購入する方法。
管理人は当初種交換会の存在を知らなかったので、ここから入りました。
これまでは後述で紹介するオンライン販売の種苗店で購入してきましたが、店頭販売の方も開拓して面白い種苗店を探していきたいと思います。
特徴
・品質が確実に保証されている
・種苗法の登録品種であるか否かを確実に知ることができる
※固定化・選抜・交雑対策などがされ品質が保証されており、さらに販売者は種苗法で発芽試験を実施すること、登録品種の場合は表示が義務付けられているため
・綺麗な種袋、かわいい種袋など大事に残したくなる種袋たちに出会える

入手方法2.種交換会
各地の種交換会の情報は例えば たねの森さんのホームページや、facebookのイベントで「種交換会」と検索すると確認できます。
自家採種を続けている農家や、家庭菜園をされている方がメインに参加されていることが多いです。
「種交換」と名前に「交換」がありますが、交換できる種を持っていないが種が欲しい、という方も参加できます。
採種、袋詰め、小分けなど、種を持ってくる方は非常に労力のかかる作業をされています。必要な分だけもらうようにして、さらに感謝の気持ちを忘れずにするとよいでしょう。
先述の「ただでもらった種からはいい実がならない」「種を貰ったら倍返し」の言い伝えに従い、翌年取れた種をお礼として種交換会にもっていけると、種を地域内で循環する仕組みができてとても素晴らしいと思います。
※種苗法・商標法などの法律に抵触する可能性のある種子の交換は避けましょう。不安な場合は主催者に確認するようにしてください。
特徴
・住んでいる地域の環境や気候にあった種子が手に入りやすい
・確実に住んでいる地域産の種が手に入る
・採種者の顔がわかる種が手に入る
・種仲間ができる






入手方法3.シードライブラリー
シードライブラリーとは「種の図書館」
種子を欲しい人が無料で借りて育てて自家採種に成功したら翌年返すという仕組みで運営されている。
図書館等の公共施設に配置されていることが多く、欧米を中心に広まっており、最近は日本でも少しずつ増えてきている。


入手方法4.種交換会(オンライン)
自分の住んでいる地域に種交換会やシードライブラリーがない・・・という方もいらっしゃるかと思います。
そのような方向けに、オンライン対応の譲渡・交換会もあります。
・山梨県の斎田さんが運営する種の出品やリクエストができる 「たねっと」
・「たねっと」管理人斎田さんが主宰する オンライン種の交換会

どんな種を貰うべきか
人により意見が分かれるとこですが、自分は「地域の環境にあった種を育てるべき」「他人が勧める種より、自分がいいと思った種を育てるべき」「特に美味しいと思った品種を育てるべき」であると考えています。
特に、食の好みは人によって異なります。
例えば、自分の場合生食向きの大玉トマトはあまり好みではありません。理由は雨が降るとすぐ裂果してしまい、またべちゃっとした食感が好みではないためです。
一方ミニトマトは裂果しにくく甘くて食感も好みなことが多く、加熱用の大玉トマトも皮が厚く裂果しにくいうえ加熱することで旨味が増すので、好んで食べています。
住んでいる地域も重要で、例えば晩生種の米や大豆は北海道では育てることができません。(完熟する前に寒さや雪で枯れてしまうため)
逆に寒冷地の在来種を温暖な地域で育てた場合、昨今の猛暑に耐えられない可能性もあります。
味の好みは人によるので、マルシェや通販で買って食べた固定種などで美味しいと思ったものがあったら種を探してみると良いでしょう。
また、最寄りの種交換会やシードライブラリーで探してみると地域の環境に適合した種が見つかるのではないかと思います。
総括
以上、紹介させていただきましたが、どれがいいかはその人が種に何を求めるかによると思います。
種の品質を絶対的に重視するのであれば種苗店での購入がおすすめでしょう。
住んでいる地域の環境にあった種が欲しい、在来種や伝統野菜をつないでみたい、種仲間を増やしたいのであれば近場やオンラインの種交換会に参加してみるのがよいでしょう。
以下、ご参考までに種のシェア系リンク・種苗店の紹介になります。
種のシェア系リンク
タネット
山梨県の斎田昊希さんが運営する種交換サイト。
自家採種した種子を欲しい人向けにシェアする機能や、欲しい種をリクエストする機能を使い、オンライン上で種の交換を行うことができる。
対面・オンラインを組み合わせた種交換会を主催している。
種苗店の紹介
オンラインで固定種・在来種の種が買える種苗店
つる新種苗
固定種、在来種、伝統野菜、F1種など様々な品種の種を取り扱っている。長野県の伝統野菜も多数。 「長野県の在来品種は基本的に守る」という方針のもと、自社で保存する種を採種農家に配って育ててもらい、採種した種子をまた売るという取り組みをしている。 自家採種した種子の配布に当たり品種登録・商標登録の確認方法のご相談時に、種苗関係者の視点よりきわめて丁寧かつ的確にご回答いただいたことがあり非常に感謝しております。

自然農法センター
自然農法に適するよう品種改良した交配種や、在来種を取り扱っている。
全て国内の採種場で採種しているのが売り。また自然農法に適した品種を選抜しているので、自然農法に挑戦したい人におすすめ。
公式サイトに栽培方法について詳細に記載があるので初心者にもおすすめ。
賛助会員になると受けれる割引クーポンが有る(管理人は賛助会員)

鶴頸種苗流通プロモーション
「タネの未来: 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ」の著者小林宙さんが起業した種苗店。 地方の珍しい伝統野菜の種の取り扱いが多数。初めて聞く伝統野菜が多く商品を見るのが楽しい。

たねの森
世界各地の珍しい伝統品種やエアルーム種の種子が多数。 無農薬・無化学肥料・無消毒の固定種の種子のみを取り扱っている。 BD農法で採取された種子も取り扱っている。

取扱店の紹介
固定種・在来種の種が買える種苗店を取り扱っているお店の紹介
農文協・農業書センター
主に農業・園芸の書籍を取り扱う書店で、多数の書籍を販売している。 鶴頸種苗と一反百姓じねん道の種子の取り扱いも行っている。



野口のタネ本店
埼玉県飯能市にある野口のタネ本店。店内に大量の固定種の種が並んでいる様子は圧巻。 種が好きな人は絶対に行くべき場所。 アクセス:西武池袋線飯能駅からバスで約30分「新寺」を下車し徒歩約5分




ジュンク堂池袋本店
7階に農業・園芸・生物の書籍取扱多数。 野口のタネ・じねん道の種子の取り扱いも行っている。



アグロピッツェリア ダ パンダ
鶴頸種苗の種子の扱いがある東新宿のピザ屋
国立市の農園で作った野菜を使ったピザがとても美味しい。


