石倉葱

いしくらねぎ

遍在する種子、 慈しまれる血統
石倉葱のメイン画像
戦時中統制物質としてこの地から全国へと散っていった、 あの無数の種子たち。 故郷前橋では今も、地元の人々がそ石倉葱の純系を守り、次の世代へと手渡している。 遠い異郷の土に根を下ろした種子たちもまた、どこかで誕生の地の記憶を、ひそかに語り継いでいるのだろうか。
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植物名/分類

ネギ / ヒガンバナ科ネギ属

主な調査日

2026/01/10

主な調査場所

群馬県前橋市

ゆかりの地

群馬県前橋市石倉町

概要

1931年前橋市石倉町の篤農家澤野丑太郎氏が鈴木葱と砂村赤昇を交配させて誕生した品種。 つまり、自然発生した九条ネギや下仁田ネギとは異なり人工的に誕生した品種である。 首が「和服の襟の形」をしていることが特徴である。 現在は石倉葱保存会による、栽培体験会、個体の選抜による保存活動が行われている。 石倉町の神明神社には、1992年に石倉葱採種組合が解散時にたてられた記念碑がある。

地図で故郷の場所を見る

2026/1/10 宇都宮から日光経由で前橋へ 保存会の方に石倉葱を見せていただきました

首が「和服の襟の形」 これは原種の石倉葱を維持するうえで重要な特徴

1992年に石倉葱採種組合が解散時にたてられた記念碑 後には組合員の方の名前が彫られている

石倉葱の圃場

交雑しないように採種用の個体はハウスで隔離している

帰りに改めて神明社へ これからも前橋の方により石倉葱の種が守られ物語が語り継がれることを願い、前橋を後にした

買った石倉葱をさっそく食べてみる

肉の厚さと中身の甘さを同時に味わえるので絶品 この味は石倉葱以外では出せないだろう

2026/5/2 再訪問させていただきました 育成中の苗

原原種を栽培する圃場 交雑の原因となる虫が入ってこないように厳重に外と隔離されている 純系を維持するためになされている努力を実際に見て知ることができた

ネギ坊主が美しい

入手方法

前橋市内の直売所がってん野菜にて販売

消費方法

改良品種と比べ柔らかい特徴を生かした食べ方に向いている。 特に焼き葱、炒め葱は肉の厚さと中身の甘さを同時に味わえるので絶品。

来歴

1931年に誕生後、石倉葱の種は戦時中に統制物質として、石倉葱採種組合の生産した種が全国に配布された(おそらく生産性が高いためと考えられる)。 その影響で、石倉葱と同系統の葱が日本各地に存在している。 もともと前橋の在来作物である石倉葱が各地で栽培されているのはその影響である。 群馬県の郷土カルタである元総社カルタではネギ坊主の絵とともに「全国に その名知られた 石倉ねぎ」と読まれていたほどであることから、その知名度の高さがうかがえる。 柔らかく倒れやすいことから機械化による収穫の困難さ、輸送時の日持ちの短さより現在は改良品種に代わられている。 長年採種を繰り返す中で前橋市内の石倉葱は原種からかけ離れた状態になっていたため、2008年より生産者が石倉葱の復活を目指して選抜を開始。 昔の石倉葱に関する資料が少ないので、農家が保存する種、ジーンバンクの種、農家の協力をもとに選抜した。 「分げつしない」「首が和服の襟の形」「柔らかい」個体の選抜を続けることで、2018年に選抜が完了し種の配布を開始した。 現在の石倉町は住宅地が広がり畑は少ないが、かつては一面に石倉葱の畑が広がっていた。 利根川や上越線により隔離された環境と採種組合と生産者が石倉葱を育ててきた、といえる。

外部リンク

石倉葱保存会

関連書籍

『都道府県別 地方野菜大全』(タキイ種苗出版部)
『日本のうつくしい野菜』(warmerwarmer)

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