新処なす
あらどころなす

植物名/分類
ナス / ナス科ナス属
ゆかりの地
秋田県横手市十文字町新処
主な調査場所
秋田県横手市
主な調査日
2026/07/19
概要
横手市十文字町新処(あらどころ)にて栽培されている巾着形の在来ナス。 生産者(2026年時点で80歳前後)の祖父母の代には新処に存在していたという話から、明治後期~大正には存在していたと考えられるが、それ以前の詳細は来歴は不明。 種子と共に先祖代々大切に伝えられてきたものと考えられる。 昔は新処でみんな作っており、郷土料理の「なすの花ずし」やふかしなす、炒め物、漬物に使われてきた。 種まきは例年3月20日ごろに行う。ハウスの中に残雪がある時期が目安。 1975年ごろまでは苗を温床で栽培しており、それ以降はハウス栽培で行っている。 6月に高さが15cmぐらいになった頃が定植の時期。 採種は二番花から行う。 現在は新処ナス保存会により、ナスやなすの花ずしの出荷が行われている。 生産者の平均年齢は80歳代と高齢化しているものの、息子が後継者として生産を引き継ぐ予定であるという事例も聞けた。 昔は賀茂ナスや吉川ナスのような大型だったが、現在の品種の大きさは10-15cmほどになる。 光が当たると特徴的な縦縞の反射が見られる巾着型のナス。 初めて見た際、泉州水ナスに類似しているという印象を受けた。 秋田県立大学の研究により、新処ナスは、秋田県の関口ナスや富沢ナスとは遺伝的に近い関係にある一方で、仙北丸ナスとは遠い関係にあることが判明している。 論文によると、これら秋田県の在来ナスは集団構造解析の結果、四国・九州地方の在来ナスと同じ系統にあることがわかる。(具体的には香川県の三豊ナス、愛媛県の絹皮ナス、福岡県の博多長ナス・久留米長ナス等) また、大阪府の泉州水ナスや新潟県の黒十全などとは遺伝的に近縁である。(共に巾着形のナスであることから似ている気がしていた) 参考文献 櫻井健二(2023)『植物育種の視点からみた「在来作物」の特徴と「自家採種」の大切さ』 ここからは永井の仮説になる。 新処ナスの起源はもともと西日本の在来ナスであり、現状とは異なる見た目をしていた。 人々の移動が盛んになった江戸時代に西日本各地を移動する中で泉州水ナスなど大阪の巾着型の在来種と遺伝的交流をすることで類似した見た目になった。 その後北前船交易で大阪→新潟→秋田と移動してきたのではないかと考えている。 遺伝子の分析から見えてくるのは壮大な種の旅の物語である。
入手方法
7-10月にかけて秋田県横手市の道の駅 十文字の直売所で青果を購入可能。同じく十文字のデリカテッセン&カフェテリア 紅玉で新処ナスを使った料理が提供されている。
消費方法
柔らかい食感が特徴的で、かたくしまった大仙市の仙北丸ナスとは対照的である。 焼きナスにすると、吉川ナス、国府ナス、天狗ナスなどに類似したふわとろとした食感を楽しめる。
認証
関連書籍
『あきた伝統野菜「種と人の物語」』(あきた郷土作物研究会)
2026/7/19 十文字のデリカテッセン&カフェテリア 紅玉で食べた新処ナスの揚げびたし

その後、新処ナス保存会の生産者の方の畑に訪問させていただきました

左現在の新処ナス 右昔の新処ナス(少し大きめ)


泉州水ナスにそっくり、が第一印象であった



圃場の様子




取れたての新処ナス 光沢が美しい 猛暑の中、貴重なお時間をありがとうございました

2026/7/20 道の駅十文字の直売所 新処ナスの販売を確認

2026/7/22 横手→秋田をぐるっと一周→八戸→苫小牧→自宅 と移動し帰宅して野菜室に入れる前の新処ナスたち これは秋田での一番の思い出

焼くとふわとろとした食感が際立っておいしい

道の駅で買ったなすの花ずし 新処ナスは「なすの花ずし」に不可欠





大きさは10-15cmほど


